「駒井哲郎 若き日の手紙(駒井哲郎)」

【書名】駒井哲郎 若き日の手紙

【副題】「夢」の連作から「マルドロオルの歌」へ

【著者】駒井哲郎

【出版社】美術出版社

【出版年】1999年

1950年~1951年にかけて、版画家の駒井哲郎がある女性に宛てて書いた私信を本にしたもの。

スメタナの弦楽四重奏。プロコフィエフのバイオリン協奏曲。ラヴェルのピアノ曲「水の精」。これらは、文中に出てくるクラシックの曲名の一部である。また、駒井哲郎の代表作の一つである連作「束の間の幻影」もプロコフィエフの曲から取った題名であった。

私は、駒井哲郎の作品を見るとリズムや旋律や音そのものを感じる。きっと、音楽、特にクラシック音楽が好きな人であったのではないかと思っていた。この本を読み、私の推測が正しかったことがわかった。

「学校の頃から描写力を養うことばかりが絵だというように教えられてきたのですけど、この頃は、そんなことより、素材と表現の結びつきが、一番大切だと思うようになってきました。」  素材と表現の結びつきとは、素材にあった表現ということか。技法が多様な版画では特に重要な事かもしれない。