【書名】現代日本絵画
【副題】
【著者】本江邦夫
【出版社】みすず書房
【出版年】2006年
「絵画こそは認識と表現の双方にかかわるべき美的な装置であり、その意味でかけがえのないものである。絵画つまりニ次元性を根底から否定することは、絵画を超えたと主張するすべての表現形式をまさに基礎づけているはずの「近代」そのをのを否定することになるのではないか。このように考えると「絵画の死」の主張はいかにも流行的なもののように思えてくるのだ。絵画を否定することは結局は写像を否定することであり、その上に築かれたまさに科学的な文明としての近代を否定することである。私が単純きわまる絵画否定論に与しないのはこの理由からである。」
「タブローと版画の両方にまたがって豊かに仕事を展開してきた画家たちの、版画賛美から、あるいはとりわけ70年代の美術において版画が果たした決定的な役割から、今日まず学ぶべきものがあるとすれば、それは、とにかく技術中心に囚われがちなこの分野の根源的かつ柔軟な本質を自覚することであろう。」