【書名】ヘンな日本美術史
【副題】
【著者】山口晃
【出版社】祥伝社
【出版年】2011年
「文化も絵も同じで、それを構成する「素数」のような物を求めて、それが何パーセントずつ含まれているといった表し方をしても、その文化や絵の全体を掴むことはできないのではないでしょか。二時間の映画を、ある場面のスチル写真で語ることができないのと一緒です。いくら全ての場面の写真を並べても、それは映画自体ではありません。そのようなやり方は、一見厳密に見えて、実は非常に怠惰な物の見方だと思うのです。ですから、日本文化にオリジナリティが無いと云う事を自嘲的に言っても、では源流はどこかを探って優劣を決めると云う事にも、余り意味は無い。それは逆も然りで、文化というのは、それを発生させた事よりも、育てていった事の方が大事と申しますか、その育む行為自体が文化というものの実体であるような気がします。」