【書名】随筆泥仏堂日録
【副題】
【著者】川喜田半泥子
【出版社】講談社
【出版年】2007年
2012年の正月開けだったと思うが、銀座のデパートで川喜田半泥子の展覧会があった。実業家であり、陶芸家であった半泥子の「東の魯山人、西の半泥子」と称された数寄者としての自由奔放さに溢れた茶陶器や書画が並んでいた。
「”陶車(ロクロ)のイケコロシ”とは、一つの形を作るに、急所丈けに力を入れて、其外は気を抜いておく事ともいえる。茶碗ならば先ず高台をシッカリと締めておいて、大きい高台であろうと、小さい高台であろうと、ビリッともせぬ力をここに蒐めておく。扇であれば要である。(中略)此のイケコロシは、古織部や、光悦にはある。小堀遠州や、仁清にはない。李朝にはある。高麗にはない。」
無茶法師とも名のった軽味に溢れた半泥子だが、「半ば泥(なず)みて、半ば泥まず」の名の通り、実業家としての仕事と生涯に渡たり素人だと言い続けた陶芸を両立した稀代の才人であった。